第2の人生の構築ログ

自分の好きなことをやりつつ、インカムもしっかりと。FIRA60 (Financial Independence, Retire Around 60) の実現を目指します。SE を生業としていますが、自分でプログラミングしながら自分が欲しいと思うアプリケーションを作ることが楽しみです。旅行と温泉、音楽と読書は欠かすことができません。

老後資金2千万円不足問題は何が問題?

金融庁が公開した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」」の報告書が炎上してしまっていますが、正直私にはこの報告書の何が悪いのかわかりません。。

www.fsa.go.jp

前提を置いた上で、ある一定の生活を老後におくるとしたら、その生活費に対して年金だけではこれだけ不足するので、自助努力しましょう、というお話です。1つのシミュレーションとしては実際の数値が出ており、とても参考になる情報で老後に備えて何をすべきか、勉強になります。
貯める話だけでなく、老後の生活の出費を減らすこともできるはずで、この報告書のデータを元にいろいろ考えてみるいい機会を与えられたと思っています。

麻生さんはこの金融庁の報告書の受け取りを拒否しました。私としては、「前提が甘すぎる、こんな金額で済むわけねぇだろう」ということで受け取りを拒否したと思っていたのですが、公式には以下の内容だったようです。

世間に著しい不安と誤解を与えており、これまでの政府の政策スタンスとも異なりますので、正式な報告書としては受け取らない

そもそも、この2千万円はどこから出てきた数字なのでしょうか。

しかし、収入も年金給付に移行するなどで減少しているため、高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。

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収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。

(PDF) 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

上記の資料にも抜粋されている、「資料2 厚生労働省提出資料」の以下の情報がベースになっているようです。 「高齢夫婦無職世帯の収入・支出」で実収入が 209,198円/月、実支出が 263,718円/月となっており、ここから「高齢夫婦無職世帯の実収入と実支出との差は、月5.5万円程度となっている。」としています。

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www.fsa.go.jp

ベースとなるデータの参照元は同じであるはずの東洋経済の記事では以下のように表現しています。

60歳くらいからの老夫婦の生活費を毎月25万円だとすると、年間300万円である。

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標準的なサラリーマン夫婦は65歳から毎月22万円の公的年金を受け取れるから、老後資金の不足額は毎月3万円である。

32年間にわたって毎月3万円ずつ老後試算を取り崩すとして、葬儀費用を含めて65歳時点で必要な資金は1500万円程度であろう。 少子高齢化によって年金支給額は少しずつ減っていくと思われるから、少し余裕を見て2000万円としておこう。

週刊東洋経済 2019年6/15号 [雑誌](50歳からのお金の教科書)

週刊東洋経済 2019年6/15号 [雑誌](50歳からのお金の教科書)

ちなみにこの試算って、持ち家あり、という前提なんですよね。

以下は、「2013年の総務省の住宅・土地統計調査」のデータで大分古いのですが、持ち家率は全国平均で61.7%と。

最下位の東京都は45.8%と全国平均の61.7%を大きく下回った。

持ち家率、東京都は全国最低(Tokyo Data)  :日本経済新聞

そう、都心部では賃貸が多いと思いますので、個人的には、期待する生活水準によっては、2000万円と聞いた時にはそれでも足りないのでは?と思ってしまいました。

野党さんもなんかいつものメンバが賑わしていますが、一部の野党さんの主張を見ていると、ホントに報告書をちゃんと読んでいるのか疑ってしまいます。読んでいるとしたら、ツッコミ場所が違う気がするからです。

選挙が近いためのこの騒ぎだと思っていますが、個人的には、このような報告書をベースに、現実をキチンと見つめ、年金のありかたを与野党で建設的に議論してもらいたいと思います。世界でも日本の少子高齢化のスピードは際立っています。もう待った無しだと思っています。くれぐれも政争の具として本件を扱って貴重な時間とリソースを浪費しないでいただきたい。

20代だけでなく、30代、40代の人たちがなかなかお金を使えないのは、漠然とした将来(老後)への不安がある訳で、それをグレーな状態にしていては、いつまでたっても消費は活発にならないと思います。
幸か不幸か大きくメディアも取り上げ、多くの人が認識した今回の報告書がこの漠然とした不安の霧を晴らしていくためのきっかけになってくれることを祈ります。