
老後の資金として実際のところどのくらいのお金を貯めておけばよいのか?
その解は人に依る、が正解だと思います。
田舎でのんびりとした質素な生活を好む方もいるでしょうし、昼夜お出かけで人と楽しむことを好む方もいるでしょう。それは人それぞれだと思います。
人に依る、人それぞれだとして、ある程度の目安を先に持てていると安心できます。人はわからないことを恐れ、わからないと苛立つものだと感じます。
私自身もある程度の目安がないと、ぼぉーとして、あっと言う間に老後に突入しそうで、また、ある年齢を超えてからだとそうそう収入も期待できなくなりますし、リスクも取りにくくなります。そのためにはある程度の目安となる金額を想定しておいた方がいいよね、ということで調べていました。
FIRA60 (Financial Independence, Retire Around 60) を前提で
このブログで何度か触れている FIRA60 ですが、以下の書籍で取り上げられていたものになります。
以前、この本の内容については、以下の記事でも取り上げていました。
さて、改めて FIRA60 の定義ですが、Financial Independence, Retire Around 60 のことで、ざっくりとは「60歳 ハッピーリタイア論」です。
「自分の金融資産残高(=「自分年金」の積立残高)が永久に枯渇しないようなシステムを60歳までに構築してしまう」
ということです。ポイントは資産の構築もそうなのでが、"永久に枯渇しないようなシステムを構築する" というところなのだと思います。
お金の流れを循環させる仕組み作り(パイプラインの構築)が必要
この本とは別の本の 「自分資産化計画」 という本の中で、
お金を稼いだり、増やしたりすることができる人はいるのに、なぜそれらを「維持する」ことができないのだろうか。人生は長いのに「お金を持ち続けることができない人」がここまで多いのは何故なのだろうかと。
という疑問を投げかけ、
「どれだけ稼ぐか?どれだけ増やせるか?」よりも「どれだけお金を持ち続けられるか?」という能力に投資することの方が長い人生において非常に優位性が高いという事実でした。
と「はじめに」で述べています。この本自体は金融資産への"投資”の話ではなく本のタイトルの通り、自己投資への重要性について書かれた本ですが、この本に書かれていた「お金を持ち続けられる仕組み作り」と「永久に枯渇しないようなシステムを60歳までに構築してしまう」、は同じ話なのだと思います。
この本の中で
「お金を稼ぐ人」と「お金を回し続ける人」のキャッシュフローの違いが、お金持ちとそうでない人の違いなのです。
という説明の絵として26ページ目に、以下の絵がでてきます。

お金の流れが違うという話です。
「中流の人」のお金の流れは一方通行で出ていっています。一方、「お金を持ち続けられる人」のお金の流れは"循環"しているのがわかります。
この「お金を持ち続けられる人」の流れを作ろうというのです。
この本では、「パイプライン」という言葉を使っており、
大切なのは「お金」を手に入れるために一生懸命稼ぐのではなく、「お金の流れ」を手に入れるために必死で「パイプライン」の作り方を学び始める必要がある
と言っています。FIRA60 を達成するには、ある一定の資産を築いた後で、パイプラインも残しておくことをしないといけません。
具体的に幾ら必要?
では、実際にいくら資金が必要なのか、確認していきます。
先程の60歳までに「お金の自由」を手に入れる! の本の中からピックアップします。
これまで老後資金として幾ら必要なのかは人に依る、という書き方をしていましたが、この本の中で3つのケースを取り上げています。
- 老後の支出規模が小さくても満足な「ジミーさん」
- まぁまぁの規模を望む「ノーマルさん」
- かなりの規模を望む「ハデーさん」
この3ケースで幾ら必要なのか算出しているのですが、その算出に必要な要素として以下の3つを挙げています。
- ① リタイア後に、自分の世帯が満足する生活費は毎月いくらか?
- ② 自分が長期的に達成可能な運用利回り年率何%か?
- ③ 自分の世帯が受け取れる年金の手取り額は毎月いくらか?
この数字をある程度想定した上で、以下の式に当てはめれば、FIRA60 できる金額がでてくるという次第です。
((① - ③) × 12) ÷ ②
先程「お金の流れを循環させる仕組み作り」の話をしましたが、②がそれに該当し、資産運用の利回りでお金が入ってくる仕組みを想定しています。
これがパイプラインです。
いろいろなシミュレーションがあり、詳細は 60歳までに「お金の自由」を手に入れる! を読んでいただきたいのですが、1つピックアップします。
- 「ジミーさん」
- ① リタイア後の「満足する生活費」の月額: 30万円
- ② 長期的に達成可能な運用利回り: 年率3%
- ③ 世帯が受け取れる年金の月額: 20万円
- 「ノーマルさん」
- ① リタイア後の「満足する生活費」の月額: 40万円
- ② 長期的に達成可能な運用利回り: 年率5%
- ③ 世帯が受け取れる年金の月額: 25万円
- 「ハデーさん」
- ① リタイア後の「満足する生活費」の月額: 70万円
- ② 長期的に達成可能な運用利回り: 年率7%
- ③ 世帯が受け取れる年金の月額: 30万円
上記を前提とした場合、各人の「FIRA60ができるようになるための必要な資産額」は以下のようになります。
- 「ジミーさん」: ((30 - 20) x 12) ÷ 0.03 = 4,000万円
- 「ノーマルさん」: ((40 - 25) x 12) ÷ 0.05 = 3,600万円
- 「ハデーさん」:((70 - 30) x 12) ÷ 0.07 = 6,857万円
例えば、「ジミーさん」の場合は、4,000万円あれば、働かなくても一月30万円の生活を送るのであれば、生涯働かなくても問題なし、ただし、その資産の運用利回りを年率3%で回さないといけない、ということになります。
何年か前に老後2000万円問題が話題になりましたが、当時そのレポートを読んだ感想としては、いや、これ2,000万円でも足りないのでは?と思っていました。 この点についても以前以下のようなことを書いていました。
「ジミーさん」でも4,000万円です。
この数字、どのような感覚で捉えられますでしょうか。私的には、先の記事にも書いていましたように、そんなもんだろうな、という感覚です。
ここでポイントなのは、②の運用利回りの年率だと思います。「ジミーさん」より羽振りのいいはずの「ノーマルさん」の金額は、3,600万円で、「ジミーさん」の 4,000万円より少ない金額となっています。 年金が「ノーマルさん」の方が5万円/月多くはなっていますが、① - ③の金額は、「ジミーさん」10万円で「ノーマルさん」15万円ですので、月々かかっている費用は「ノーマルさん」の方が上です。それなのに、400万円「ノーマルさん」の方が少なく済んでいるのです。
運用利回りはここまでの差を出します。
ここで思うこととしては、
- FIRA60 するために目安となる金額はおおよそ想定できた
- その一方で、運用利回りはやはりバカにならない。FIRA60 できるためのお金を準備することは勿論だが、そのお金を準備する過程において、投資というものをしっかり勉強しておくことが重要
ということでした。
投資の勉強ができるのも働いている間だけです。退職金など纏まったお金が手に入ってから投資を始めることを考えられる方もいるようですが、私にはそんなギャンブルはできません。。
まだまだヒヨッコですが、引き続き投資の勉強をしっかりしていきながら、FIRA60 のための資産を用意する、その後の運用利回りの年率を高く保てる実力をつけておく、というのがしばらくの自分に課すタスクなのか、と思っています。

